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手紙

カレーをお買い上げ下さいました御客様には、全て、手書きの手紙を入れるようにしております。開業以来ずっと続けております、自分自身との約束事です。
常連の御客様はともかくとして初めての御客様にはカレーの内容の御説明、お召し上がり方法、簡単な自己紹介などを書いておりますと、便箋に3、4枚となってしまう事も多々ありますが
今の私にとりましては、一番楽しい仕事となっております。
おかげさまで今では、カレーの味の事よりも、手紙の事を褒められる事の方が多くなってまいりました。
しかし、今でこそ、そう仰っていただけますが、最初の頃はそれはそれは酷いものだったと思います。小中学生が使用するようなレポート用紙や業者さんから頂いたメモ用紙のような物に
まさに殴り書きの手紙を平気で同封しておりました。
 
そんな時にある御方から、とても丁寧な御手紙を頂戴致しました。その御手紙はとても立派な
封筒に入れられて、中には、和紙の便箋にとてもしっかりとした文字で書かれておりました御手紙が
入っておりました。
そして、その御手紙にはこのように書かれておりました。
「遠く離れて暮らしていればそう簡単に会う事も出来ないとは思いますが、同じ日本の空の下
心と心のお付き合いをしていきましょう」
この御手紙を読みまして、私はすぐに書店に走り、手紙の本を購入して、その本を読み読み
すぐに御返事を書きました。
とは、いうものの、その手紙にしても今から考えれば、とても酷い内容の物だったと思いますが。

その御方は私よりも一回り以上年長の御方です。ふと、考えました。果たして私は年下の人間にこのような慈愛に満ちた手紙を書いた事があっただろうかと。

それ以来、手紙の書き方以上に相手の事を思うという事を考えるようになりました。
今では、何とか私の手紙も手紙の体をなすようになってきたと思います。

この仕事をしておりますと御客様と直接御会いするという事は、ほとんどございません。
しかし、御縁のありました御客様とはいくら遠く離れて暮らしていてもずっと、ずっと心と心の
お付き合いが出来ますように、
そして、年下の人間にも慈愛に満ちた手紙が書けます様に、
精進してまいりたいと思っております。

先生、どうもありがとうございました。これからもどうか宜しく御願い申し上げます。
by fukui-curry | 2009-02-09 10:40


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